新事業進出補助金は昨年度で募集が終了した大人気の「事業再構築補助金」の後継補助金です。
まだ募集回数が少ないですが、採択一覧から採択傾向を分析しました。
事業再構築補助金とは傾向が少々異なっていますので、事業計画書策定において対策が必要です。
製造業では、先端技術、リサイクル、一貫生産体制が目立ち、最新機器導入で採択傾向があります。
サービス業では体験型、地産地消、インバウンドが優位に立っています。
またあらゆる業界でIT、AI技術、DXの取組みが採択に繋がっているケースも多くなっています。
「事業再構築補助金」ではやや少額の投資でも申請可能でしたが、「新事業進出補助金」では投資金額の下限が設定されたため、申請のハードルが上がっています。
投資金額が比較的低額、目先の流行で始める事業は姿を消しました。下記に傾向をまとめていますのでご参考にしてください。
この記事は、当事務所のNoteブログ(https://note.com/iijoffice)の内容をもとに再編集しています。
1. 「製造技術」の他分野・高付加価値市場への転用 🛠️
製造業者がこれまで蓄積してきた「技術ノウハウ」を、新しい成長性分野に進出・転用する新事業が多く見られます。
- 成長市場・先端分野への進出
既存の加工技術(板金、溶接、プレス、切削など)を活かし、半導体、航空機部品、医療用部品など、高度な技術が求められる分野へ進出する計画
例:「大型ステンレス材精度確立での先分野へのシフト」、「汎用プレスを用いたせん断により実する高付加加工」- 素材・技術の転換とアップサイクル
再生プラスチック、バイオマス燃料、炭素繊維強化プラスチックのリサイクルなど、環境対応やサステナビリティに貢献する新素材・新技術を用いた製品の製造・販売事業
例:「再生砕石の事業」、「再生可能による情報サービス」、「再生プラスチックパレット製造事業に進出」- 一貫生産体制の確立
単なる部品加工に留まらず、企画・開発から製造・販売まで一貫した体制を構築し、OEMやオーダーカスタム品の製造販売へ進出する
例:「加工から組立まで○○一貫サービスの開発」
2. 「DX/AI/SaaS」を活用したビジネスモデル変革 💡
既存事業にデジタル技術、DX化を組み込むことで、既存ビジネスを変革する計画が多く採択されています。
- AI/プラットフォーム開発
顧客や業務の課題を解決するAIコンサルティング、AIを活用した運行・支援システム、顧客管理SaaS、マッチングプラットフォームの開発
例:「AI会話に人材育成サービス」、「AIを活用した○○サービス」- インバウンド/地域観光との融合
観光客のニーズに対応したVRシステム、体験型ダイニング、貸切型プレイルーム、または地域資源(地酒、食文化など)を活かした体験型観光プロジェクト
例:「和文化体験による訪日客向け○○」、「観光客と地元をつなぐDX配車」、「観光需要に即した○○事業」- 不動産・建設分野の効率化
ドローン技術、VRシステム、不動産業務DXサービスなどを活用した、住宅診断、リフォーム、または建設現場の効率化・高付加価値化
例:「ドローン技術によるインフラ支援」、「空き家を活用した○○」
3. 「地域資源・食品」の高付加価値化と垂直統合 🧑🌾
地域の資源、食品を活かし高付加価値化を図る事業が目立ちます。
- 地元産品の高付加価値加工
地元のそば、こんにゃく、果物、海産物などを加工して、ジェラート、クラフトビール、冷凍食品、または健康食品を製造・販売する事業
例:「地利食材によるレストラン」、「地産地で高品質な○○作り」、「地元素材を活かした○○製造販売」- ウェルネス・健康志向への対応
アレルギー対応食品、グルテンフリー食品、高たんぱく食、薬膳など、健康志向の高い顧客をターゲットにした食品製造事業
例:「給食(学校・保育・介護)におけるアレルギー管理」、「健康食の製造事業」、「健康増進のための○○施設」
採択結果からの分析は以上ですが、いわゆる目先の流行(スイーツ、無人販売、室内ゴルフなど)はかなり少なくなってきています。エステ、ジムなどでも工夫を取り入れた新事業である必要があります。